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スライド06
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●日本政府のIT産業・技術者の「囲い込み」
 日本における情報化社会の形成と高度化は、伝統的に日本政府の政策が大きな牽引力となっています。この伝統的政策の中で日本政府は、大手エレクトロニクスに強く依存し、新興のベンチャー系IT企業が行政分野での事業に参加することはほとんどなかったと言う状況が続いていました。
 ところが特にここ数年、今まで公共分野からは排除されていたベンチャー系IT企業が行政機関と取り引きをする場面が非常に増えてきています。これは、2000年前後から大量の「e-Japan戦略」関連予算がエレクトロニクス産業に投入されているためです。必然的にベンチャー系IT企業が公共事業に参入することになりました。
 ところが、このような国によるIT産業の囲い込みの結果、IT企業・技術者は行政システムの技術的な問題点を公開の場で指摘しないという傾向を強めています。たとえば「住基ネット」に関連する情報セキュリティ対策が持つ問題点について、公開の場で実名で指摘している技術者はわずかな数でしかありません。

●「個人情報の管理」を行政に求める民間企業
 個人情報を複数の企業やNPOなどで共同利用する民間サービスや行政サービスのシステム開発実験に対して、特に経済産業省が集中的な資金提供を継続的に行っています。
 これらの実験の中で、個人情報運用サーバー(データベースサーバー)の管理・運用を行政機関に担当してほしい−−とする要望が、たとえば、最近行われた民間での「プロファイル・ポータル」に関連する(「ぴあ」を中心と下企業グループの)実証実験で出されていました。このシステムは、行政サービスとは直接関係のないシステムです。
 また、高齢者介護サービスのためのシステム(IT装備都市研究事業)の実証実験では、初期に開発されたものではNPOが個人情報運用サーバーの管理を担当していながら、後継システムでは行政機関(市町村の広域連合)がこれを担当した例があります。

 これらの事例は、今後ユビキタスネットワークの構築が進められていくとき、そこでは、個人情報の管理が「行政」レベルに過度に集中されるであろうことを示すものだと思います。個人情報をより安全に管理運用するためには、本人にできるだけ近い場所で分散管理した方がよいという指摘があります。しかし現実は、こうした指摘に逆行したシステム概念が定着する傾向を示しています。そしてその集中管理は、「個人情報の管理運用者」としては国民から信頼されていない行政機関が行うことになろうとしているわけです。


もくじ

日本の市民運動から見た 個人情報流通拡大の問題点と課題
市民社会の強い関心と抵抗−−個人情報保護法と住基ネット
行政機関間の個人データ流通の急激な拡大
生活に「接続」する行政ネットワーク
市民の「生活」における監視への行政機関の強い関与
行政機関の関与に対する企業の「期待」と自己規制
日本の市民運動の課題
ユビキタス社会の「影の部分」に対する対応
「ユビキタスの輸出」に対応する 市民の国際的な連携を

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