Slide 02

   


1 東アジアの動向

日本と共通する動き

 報告者が「MIS的なネットワークシステム」に注目したのは、2つの動機付けがあったためです。

 まず第1の動機は、東アジア地域で「住基ネット」と共通性の高いさまざまな動きが、この数年間に起きていることです。
 ここでは3つの例をあげました。

  1. 韓国のNEIS(全国教育行政情報システム)の稼働
  2. マレイシアのICカードを利用した政府発行の身分証明書「マイカード(MyKad)」の普及
  3. ICカードを利用した身分証明書の行政による発行計画が、韓国・台湾・フィリピンなどで実施されようとしたこと
    (現在これらは、計画としては中止されていますが、いつ再提案されてもおかしくない状況にあるとのことです)。

 日本の「住基カード」を含めて、これらの東アジアにおける行政システムの動向に共通するものは、

  1. 国民IDナンバーの利用を前提としている(国民IDナンバーは、韓国・マレーシアでは古くからの制度として定着している)
  2. ICカードと関連づけられた、大規模な個人情報の収集・管理・利用のためのデータベースが国によって運用される
  3. 国民IDナンバーの記載された身分証明書による人権侵害が指摘され、あるいは強く危惧されている

 これらの事例が東アジア地域で起きていることは、日本を含めてこの地域が、情報通信機器の国際的な生産・供給地域となっていることと大きく関連しているものと考えられます。その点を考えるなら、ここには名前が出てきませんが、タイ、シンガポール、インドネシア、そして香港を含む中国などの動向にも注目しておく必要があります。

韓国で提唱された「反監視権」

 最後に紹介しているイ・ウヌ弁護士の「反監視権」は、こうした状況に対して韓国社会の現実を踏まえた改革のための提案になっています。アメリカ的な「第3世代のプライバシー権」に非常に近い概念に注目するものですが、それを韓国の社会に適合するには、法制度として確立する必要があるとしています。

 韓国の国民IDカード(国民登録証)は、日本が植民地時代に持ち込んだ精度を基礎とする物で、日本の「住基ネット/住基カード」と通底している精度です。その意味でイ・ウヌさんの「反監視権」は、日本の社会にも適合するものと言えます。
 *「反監視権」については、参考資料にあるURLを参照。


●もくじ(Slide番号でジャンプ)

01:行政機関のMIS的なネットワークシステムへの傾斜と 人権保障・プライバシー保障の課題

02:1 東アジアの動向

03:  韓国の全国教育行政システム(NEIS)

04:  My Kard(マレイシア)

05:2 MIS的なインターネットへの警鐘

06:3 行政における統制型(MIS的)ネットワークシステムへの傾斜

07:  住民基本台帳ネットワークシステム(論理的構成)

08:  自治体共同IDC(経済産業省実証実験)

09:4 行政(公共)サービスにおける 個人情報の収集・利用

10:5 行政(福祉)サービスにおける プライバシー

11:6 行政システム/サービスにおける人権/プライバシー侵害の発生要因

12:7 (日本の)NPOおける課題

13:8 NPOをとりまく環境(1)NPOのネットワーク接続

14:9 NPOをとりまく環境(2)ネットワーク環境

15:10 NPOをとりまく環境(3)プライバシー保障

16:11 NPOの課題

17:12 国際的な課題

18:  参考資料