Slide 08

   


自治体共同IDC(経済産業省実証実験)

自治体共同データセンターと自治事務の標準化

 もうひとつの、日本の電子政府・電子自治体(の構想)が持つ特性として、市町村合併の推進を前提とする「自治体共同データセンター」(自治体共同IDC)構想が指摘できます。この構想は、「国レベルで推進されている『自治事務』の標準化」とでもいうべき動きと連動していて、前述した「自治権の不在」という現実がここにも現われています。

 この図に見られるように、自治体共同IDCは、住基カードによって識別された地域住民の日常的な行為の情報(個人情報)を、地域のサーバーに集中するものです。

経済産業省の地域情報センター構想

 経済産業省(実施窓口は(財)ニューメディア開発協会)は、2002年度のIT装備都市研究事業として、コミュニティ・データセンター(CDC)の実証実験を全国4か所で実施しました(図参照)。この実験は、「住基カード」を利用した(経済産業省の)各種「自治体独自利用」機能のためのサーバー、経済産業省が推進している「住基カードへの民間機能の相乗り」のためのサーバーをここに集中しています。また、センターの運営母体には、自治体とメーカー、地域の情報通信事業者が参加する第三セクター方式が想定されています。

 こうした地域IDCの構想の流れの中で、最近では、最終的には自治体の基幹事務処理システムをすべてここに集中することによって、自治体間での事務処理システムの共同化(共同開発/共同運用)や、システムや情報を集中することによって各市町村が負担するセキュリティ対策経費を軽減することを目的としたIDCも運用を開始し、あるいはシステム構築が始米良れようとしています。

総務省の地域情報センター構想

 また、総務省市町村課/地方自治情報センターは、LGWANに接続される自治体共同の「電子申請共同窓口」のパイロッ事業を実施し、その利用のための自治体の協議会を多数組織する段階に至っています。この中で総務省は、複数の自治体が共同で電子申請窓口を利用するために、共同窓口ごとに自治事務「標準化」のための協議か必要であることを強調していますが、実際に稼働するシステムはすでにパイロッ事業によって総務省が開発しており、開発費の負担能力などを考えると、市町村の独自性が打ち出せるのは、既存のシステムの限られた一部の改良程度とならざるを得ないことははっきりとしています。

LGWANを通じた自治事務の標準化の動向

 以上は「住基ネット/住基カード」に関連した動きですが、「LGWAN」に関連した「自治事務標準化」の動きも強まってきています。これは、LGWANを通じて自治体から国に提出される書類等の標準書式が担当の各省庁から自治体に提示され、またこれに合わせる形で、自治事務に関わる標準処理システムを担当省庁が開発して自治体に供給するという形で進んでいるものです。

 これらの動きが、「自治事務」に対する「上(国)からの標準化」であることを、ここでは強調しておきたいと思います。電子政府をスムーズに実現するためには、国の事務があまりに深く自治体事務と関連してしまっている現状では、電子自治体を強力に推進することが必須の条件となっています。このため国は、自治事務の電子化・ネットワーク化にともなう「標準化」の作業をテコとして、市町村や都道府県レベルでの電子自治体の構築を国主導で推進する方針を採用しているものと考えられます。


●もくじ(Slide番号でジャンプ)

01:行政機関のMIS的なネットワークシステムへの傾斜と 人権保障・プライバシー保障の課題

02:1 東アジアの動向

03:  韓国の全国教育行政システム(NEIS)

04:  My Kard(マレイシア)

05:2 MIS的なインターネットへの警鐘

06:3 行政における統制型(MIS的)ネットワークシステムへの傾斜

07:  住民基本台帳ネットワークシステム(論理的構成)

08:  自治体共同IDC(経済産業省実証実験)

09:4 行政(公共)サービスにおける 個人情報の収集・利用

10:5 行政(福祉)サービスにおける プライバシー

11:6 行政システム/サービスにおける人権/プライバシー侵害の発生要因

12:7 (日本の)NPOおける課題

13:8 NPOをとりまく環境(1)NPOのネットワーク接続

14:9 NPOをとりまく環境(2)ネットワーク環境

15:10 NPOをとりまく環境(3)プライバシー保障

16:11 NPOの課題

17:12 国際的な課題

18:  参考資料